妊娠中の引越し! どんな作業ならできる? やってはいけないことはある?
最終更新日 2019年05月23日
妊娠中、急な転勤や家庭の事情で引越しをすることになったら……。可能であれば、妊娠中は落ち着いた家でゆったりと過ごしたいもの。
やむをえず引越しをする場合には、どのようなことに気をつければよいのか、やってはいけないことはどんなことなのかが気になりますよね。
助産師の浅井先生に、妊娠の経過ごとに母体や赤ちゃんの状態、さらに引越し準備などで注意したいことについてお話を聞きました。
妊娠初期は体調にも個人差あり。無理はしないこと
妊娠初期(11週までが目安)は、お腹も出ていないので一見して妊娠しているとは分かりにくいもの。
しかし、安定期に入る前ということもあり、特に不安になってしまうこともありますよね。妊娠初期、身体はどのような状態になるのでしょうか?
「妊娠成立から11週までの間は、胎盤がつくられ、赤ちゃんがお腹の中で安定して過ごせるようになる準備を進めている時期。この時期の体調には個人差が大きく、つわりがその代表的な例です。
ほとんど影響を受けずに仕事もできる、という人もいれば、一日中体調がすぐれず、動けなくなってしまうほどの人も。自分の体調に合わせて、引越しの作業は無理をしないようにしましょう。
また、出血があったり、流産の兆候のある人には安静の指示が出されるはずなので、そのときは医師の指示に従ってくださいね」(浅井先生・以下同)
妊娠が分かり、あれこれ不安なことも多い妊娠初期。この時期に引越しをするとなると、準備の忙しさに加えてつわりなど体調の変化にとまどうことも多くなりますが、体調のよいときに少しずつ荷造りを進めるのがよさそうです。
妊娠中期は安定期。動けるチャンス
妊娠中期(12週~31週が目安)は安定期とも言われ、つわりがおさまり、体調が回復する人も多い時期です。この時期の引越し準備は比較的楽に進められそうですが、どうなのでしょうか?
「初期と同様、自分の体調と相談して大丈夫そうであれば動いてもOK! ただし、この時期に気をつけたいのが『切迫早産』と『逆子』。いずれも注意が必要です」
切迫早産
予定日よりも大幅に早く産まれてしまう「早産」の一歩手前の状態。妊娠前からの子宮の病気が原因ということもあるそうです。子宮の収縮を起こさないよう、お腹の張り止めの薬をのんで、安静にしている必要があります。
逆子
妊娠中期の終わりごろまでは、赤ちゃんはお腹の中で自由に動き回ることができるため、逆子であることも珍しくはありません。妊娠後期には自然に頭が下になることがほとんど。ただし、赤ちゃんの身体でも特に活発に動く『足』が子宮口の側にきてしまうと、早産の原因になってしまうことも。
いずれもきちんと対処することで、危険な状態は避けることができますが、こうした診断があった場合には基本的に動くのをやめ、横になっているのがよいとのことです。
ぎっくり腰
「また、この時期に気をつけたいのが『ぎっくり腰』。妊娠中は骨盤をゆるめる『リラキシン』というホルモンが分泌されていて、骨盤が動きやすくなっています。
ですから、重いダンボール箱や荷物を持ち上げたりする際に腰を反らすのはNG! また、荷物を持ち上げる際にも、床から一気に持ち上げるのではなく、いすや台に上げてから持ち上げるようにしましょう」
妊娠中期は体調も安定し、荷造りも進めやすいといえる時期。ただし、切迫早産などで安静にしている必要がある人は、夫に荷造りや運搬作業をお願いしたり、荷造りの指示役にまわるなど、分担して作業を進めるのがよいですね。
出産間近の妊娠後期は、お腹の保護を優先
妊娠後期(32週~が目安)は、いよいよ出産が近づき、お腹のふくらみもはっきりと分かる時期です。
「これまでにみてきた妊婦さんのなかでも、子どもを迎えるにあたって今より広い家に住みたい、住環境を重視した家に住みたいといった理由から、この時期に引越しをする人が多いです。
注意してもらいたいのは何よりも、お腹をどこかにぶつけないことですね。引越しの際には家具の角や、廊下の曲がり角、壁など、何かの拍子にさまざまな場所にぶつかってしまう危険があります。
また、家具などを運び出す際に、妊娠していないときなら通り抜けられる隙間を通れなくなっていることも。壁や荷物にはさまれないように気をつけてくださいね」
また、階段を下りる際などにも足元が見えず、転んでしまう危険が。エレベーターがあるならエレベーターを使う、階段を使う場合は手すりをつかむなど、気をつけて移動するように、とのことでした。
「体調のよい人は、体力づくりをかねて歩いたり、スクワットなどをしてもいいですよ。日ごろ運動する習慣のなかった人は、特に意識してほしいです」
ほかにもある! 気をつけたいポイント
妊娠の経過ごとに注意点を教えてもらいましたが、ほかにも気をつける点があるとのこと。
座り方
「荷造りなどの作業時は、できるだけあちこち移動するのではなく、一カ所に座ってできるような作業を選びましょう。
また、むくみの原因となる正座や、骨盤のゆがみを招く『あひる座り』などはNG。妊婦さんに一番適した座り方は『あぐら』です。また、床に座る際には座布団やクッションを敷いて、体重がお尻や足に集中しないようにしましょう」
冬場の冷え
「妊婦さんの一番の敵は冷え。特に冬場、暖房器具が整っていないなかでの引越しなどは、特に身体が冷えます。
レッグウォーマーをはいたり、重ね着をして身体を冷やさない工夫を。また、しょうが入りのお茶を飲むなど、身体をあたためる効果のある食材をとるとよいですよ」
夏場の脱水症状
「引越し作業は、ついつい時間を忘れて没頭してしまいます。でも、夏場の暑い時間に根を詰めて頑張りすぎると、汗で水分と塩分が失われてしまいます。時間をこまめにチェックして、水分・塩分を補給してください」
まとめ
妊娠中の引越し準備や荷ほどきは、気をつけたいポイントがたくさんありますね。
「妊婦さんは、自分だけでなんとかしよう、やらなければ! と思いつめるのではなく、周囲をどんどん頼ってください。パートナーだけでなく、両親が近くに住んでいるなら買い物などのサポートをお願いしてもいいでしょう。自分ひとりであれもこれもと頑張りすぎないでくださいね」
母体への負担やストレスは、本人の心身だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにまで影響を及ぼすため、体調に気を配り、無理をしないことが何よりも大切です。パートナーと協力しあって、引越しと出産、両方のイベントを乗り切りたいですね。
●取材協力
助産師 浅井貴子
大学病院、未熟児センター勤務を経てフリーの助産師に。マタニティーアロマセラピストとしても活動し、「プレママアロマ教室」、ベビーマッサージ教室「カモマイル」を主宰。
http://www.mid-wife.info/
掲載:2017年5月12日
写真:PIXTA
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