引っ越し時の保険証、住所変更してなくても使える?手続き期限はいつまで?
最終更新日 2024年08月10日
会社員の方は、引越し時に雇用主が社会保険の手続きを取りまとめて行ってくれますが、個人事業主・フリーランス・フリーターの方などは、引越しする際の「国民健康保険(国保)」の手続きを忘れずに行い保険証を書き換える必要があります。手続きが遅れると、保険での治療ができないなど、金銭面での負担が大きくなります。スムーズに移行できるよう、流れをつかんでおきましょう。
■目次
- 国民健康保険・社会保険は、引っ越ししたら必ず住所変更手続きを
- 国民健康保険の住所変更を忘れたらどうなる?
- マイナンバーカードと保険証の一体化も視野に入れよう
- 異なる市区町村へ引越しをする場合の国民健康保険の手続き
- 引っ越し“元”で「資格喪失手続き」をする
- 引っ越し“先”で「加入手続き」をする
- 同じ市区町村内で引っ越しをする場合の、国民健康保険の手続き
- 引っ越し後も国民健康保険の支払いは日割りではなく月割り
- 国民健康保険と一緒に済ませておこう! 国民年金・印鑑登録の手続き
- 国民年金(第1号被保険者)の住所変更
- 印鑑登録の住所変更
- 国民健康保険・社会保険に関するよくある疑問
- 一人暮らしの学生も住所変更は必要?
- 住所変更後の保険証が届くのはいつ?
- 病院に診察に行きたいけれど、手続き中で保険証が手元にない
- 新しい住所で国民健康保険の加入をしていないけどどんな問題がある?
- 保険証は住所変更していなくても使える?
- 資格喪失手続きが遅れて、保険料を納めすぎた
- 社会保険の裏の手書きの住所の書き換え方が知りたい
- 国保も社保も引っ越し後の住所変更手続きを忘れずに!
国民健康保険・社会保険は、引っ越ししたら必ず住所変更手続きを
引越しするにあたって必要な手続きに、「健康保険の住所変更」があります。国民健康保険は、自営業者や農業漁業従事者、学生、無職の方などが加入しています。
国民健康保険の住所変更の流れは、「異なる市区町村へ引越しする場合」と「同じ市区町村間で引越しをする場合」で異なりますから、自分のパターンにあった方法で進めていきましょう。
- 異なる市区町村へ引越しする場合 → 国民健康保険の「資格喪失」と「加入」の手続き
- 同じ市区町村内で引越しする場合 → 国民健康保険の「住所変更」手続き
それぞれの詳しい手続き方法は後述します。
社会保険は企業や公的団体に勤める人・その家族が加入対象です。社会保険の住所変更は、会社の担当部署に報告するのみなので、自分で手続きする必要はありません。
国民健康保険・社会保険以外にも、引越しにはやらないといけない手続きが数多くあります。以下の記事にチェックリスト付きで説明しているので、併せて参考にしてください。
「「引越しやることチェックリスト」手続き・荷造り・引越し後の流れを完全ガイド【10ステップ】」
国民健康保険の住所変更を忘れたらどうなる?
国民健康保険料の納付先は、住んでいる自治体です。したがって、たとえ保険料を収めていたとしても、新居の自治体で加入手続きをしていなければ、医療機関の受診料などが全額負担になります。そのほか、以下のようなデメリットがありますから、国民健康保険の手続きは必ず済ませておきましょう。
※過払いがあった場合には、保険証を新住所に書き換えることによって払い戻しがあります
国民健康保険の住所変更を忘れるとおこること
- 医療費が全額負担になる
- 再加入してからさかのぼって滞納分を支払う必要がある
- 資格喪失の手続きを忘れると保険料の二重支払いが起こることも
マイナンバーカードと保険証の一体化も視野に入れよう
マイナンバーカードを所持していながらも、まだ保険証と連携していない人は引越しを機に一体化も検討するとよいでしょう。
これらを一体化するメリットは、引越し先での新たな保険証の発行を待たなくてよくなることです。マイナンバーカードを常に持っていれば、保険証を携帯する必要もありません。カードひとつで、身分証明や通院などさまざまな目的に活用できます。さらに診断結果や薬の情報の提供に同意すれば、データに基づいてより良い医療サービスが受けられます。
マイナンバーカードと保険証の連携は、マイナポータルを通じてオンラインで可能です。手続きではカードを読み取る必要があるので、スマートフォンかICカードリーダーも準備しましょう。カードを読み取ったら、マイナポータル上の指示どおりに手続きを進めてください。
異なる市区町村へ引越しをする場合の国民健康保険の手続き
異なる市区町村へ引っ越しをする場合は、引っ越し元で「資格喪失手続き」を、引っ越し先で「加入手続き」をそれぞれ行います。いったん国民健康保険を脱退して、新たに入り直すイメージです。
「転出届」「転入届」を出したからといって、自動的に保険証の住所が切り替わることはありませんから、忘れずに手続きをしておきましょう。
引っ越し“元”で「資格喪失手続き」をする
国民健康保険の「資格喪失手続き」は、役所に転出届を出すのと同時に済ませておくのがスムーズです。
引っ越ししてから14日以内で行うこととされているので、引っ越し後でも手続きはできます。
しかし、引っ越ししてから旧住所の役所まで行くのは手間ですし、うっかり忘れたときのデメリットは大きいです。この届け出をしないと、引き続き旧自治体で保険料が請求されてしまいますので留意しましょう。
必要書類
引越し元の自治体で提出が必要となる書類は、国民健康保険証(変更が必要な人全員分)です。住む自治体が変わった場合、手続き後に新しいものと交換する流れとなります。また手続きする中で、運転免許証やマイナンバーカードといった身分確認書類の提示も必要です(自治体によっては印鑑も)。
■国民健康保険の加入手続き
※自治体によって、 手続き方法が異なる場合がありますので、 事前に問い合わせてください。
手続きをする場所 | 引っ越し元の市区町村役場 |
手続きができる人 |
|
手続き期限 | 転出後14日以内 ※引っ越し日より前でも手続きできます。 |
郵送 | 可 |
代理人 | 可 |
必要書類 | 本人申請
代理人申請
郵送
|
引っ越し“先”で「加入手続き」をする
国民健康保険の「資格喪失手続き」は、役所に転出届を出すのと同時に済ませておくのがスムーズです。
引越ししてから14日以内で行うこととされているので、引越し後でも手続きはできます。
しかし、引越ししてから旧住所の役所まで行くのは手間ですし、うっかり忘れたときのデメリットは大きいです。この届け出をしないと、引き続き旧自治体で保険料が請求されてしまいますので留意しましょう
必要書類
引越し先で新たに国民健康保険へ加入する場合、「健康保険資格喪失証明書」の提出が必要です。この証明書は、以前住んでいた自治体(社保の場合は年金事務所)で手続きすれば取得できます。併せて身分確認書類も用意してください(自治体によっては印鑑も必要)。
■国民健康保険の加入手続き
※自治体によって、 手続き方法が異なる場合がありますので、 事前に問い合わせてください。
手続きをする場所 | 引っ越し先の市区町村役場 |
手続きができる人 |
|
手続き期限 | 引っ越し後14日以内 ※原則、 引っ越し日より前の届け出はできません。 |
郵送 | 可 (一部の自治体のみ) |
代理人 | 可 |
必要書類 | 本人申請
代理人申請
郵送
|
同じ市区町村内で引っ越しをする場合の、国民健康保険の手続き
市区町村をまたがない引越しの場合は、引越し先の市区町村で国民健康保険の「住所変更」を行うだけでOKです。住民異動届(転居届)の手続きの際、同時に行っておきましょう。
必要書類
同じ市区町村内転居の場合でも、住所の記載内容を変更しないといけません。手続き時には、国民健康保険証(変更が必要な人全員分)と身分確認書類の提示が必要です(自治体によっては印鑑も必要)。新しい住所が記載されたものと交換する形となります。
■同一市区町村内での、 国民健康保険の手続き
※自治体によって、 手続き方法が異なる場合がありますので、 事前に問い合わせてください。
手続きをする場所 | お住まいの市区町村役場 |
手続きができる人 |
|
手続き期限 | 転居後14日以内 |
郵送 | 不可 |
代理人 | 可 |
必要書類 | 本人申請
代理人申請
|
引っ越し後も国民健康保険の支払いは日割りではなく月割り
国民健康保険料の支払いは、日割りではなく月割りで計算されます。
例えば、ある人物(Aさん)が「8月20日付」で、「甲市」から「乙市」に転居したとしましょう。この場合、8月分は引越し元である「甲市」で保険料を納め、9月分から引越し先の「乙市」に切り替わります。
国民健康保険料は、自治体によって計算方法が異なります。そのため転居したことで、以前の自治体と比べて月々の保険料が上下する場合もあります。
また引越し先である「乙市」は、Aさんの所得の情報を持っていません。そのため最初は均等割の計算をしたうえで納付書を送付し、後日「甲市」に照会をかけて再度算定されます。こうしたプロセスを踏む中で、はじめに提示された納付額が変更となるケースもあります。変更があるときは自治体から通知が届くので、しっかりと目を通してください。
国民健康保険と一緒に済ませておこう! 国民年金・印鑑登録の手続き
国民年金(第1号被保険者)の住所変更
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者の場合、原則、住所変更に関する届け出は不要です。
マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者は、下記の届け出が必要です。転居届・転出届と、国民健康保険の住所変更とともに、まとめて済ませてしまいましょう。
届け出は異なる市区町村へ引越しする場合は新居の市区町村役場で、同一市区町村での引越しの場合はお住まいの市区町村役場で手続きをします。
※同一市区町村内の引越しは、自治体によっては転居届がされると同時に、国民年金の住所も変更される場合があります
■国民年金 (第1号被保険者) の住所変更
手続きをする場所 | 新居を管轄する市区町村役場 |
手続きができる人 |
|
手続き期限 | 転居後14日以内 |
郵送 | 不可 |
代理人 | 可 |
必要書類 | 本人申請
代理人申請
|
印鑑登録の住所変更
同じ市区町村内での引越しなら、役所へ転居届を提出したタイミングで印鑑登録上の住所も自動的に変更されますから、あらためて印鑑登録をする必要はありません。
異なる市区町村へ引越しする場合、印鑑登録は旧住所で「抹消(廃止)」、新住所で「登録」の手続きをしなくてはなりません。転出・転入届や国民健康保険の手続きと一緒に終わらせてしまいましょう。
国民健康保険・社会保険に関するよくある疑問
国民健康保険の住所変更の際に、よくある疑問をまとめました。
一人暮らしの学生も住所変更は必要?
原則として、ほかの自治体へ転出したら住所変更を届け出る義務があります。一方で、一時的な転居については住所変更しないことも例外的に認められており、主に県外の大学等に通う学生が該当します。住民票上の情報を変更しない場合、国民健康保険証も住所変更する必要はありません。
一方で現在住んでいるところに住民票上も移し、学生用の被保険者証(マル学保険証)を利用するといった方法もあります。こちらは市外に転出しても、保険料を以前住んでいた世帯に納めてもらう制度です。
当該制度を利用するには、転出前の自治体で申請が必要です。提出書類として身分証明書や在学証明書(学生証)を準備しましょう(詳しくは各自治体に確認)。マル学保険証の申請をする場合、転出先では国民健康保険証の住所変更は必要ありません。
住所変更後の保険証が届くのはいつ?
手続きの際に必要書類を全てそろえているのであれば、多くの自治体で新しい保険証はその日のうちに交付されます。ただし発行までは時間がかかり、場合によっては30分ほど待つことも考えられます。その日のうちに受け取りたい人は、時間に余裕がある日に手続きをしましょう。
必要書類がそろっていない状態であれば、後日に郵送での対応となるのが基本です。郵送の場合は、約1〜2週間程度で手元に届くと考えてください。
また引越しの繁忙期である3月は、多くの人が同様の手続きをしている可能性が高いでしょう。したがって手元に届く期日も遅くなりやすいといえます。
なお自治体によっては必要書類をそろえていても、郵送で交付することを基本としているところもあります。
病院に診察に行きたいけれど、手続き中で保険証が手元にない
新しい保険証が届く前に診察を受ける場合には、市区町村役所窓口にて、保険証と同じように提示できる「資格確認書」(仮の保険証)を受け取ることができます。
緊急事態で「資格確認書」を受け取る余裕もないときは、一度10割分を医療機関に支払いましょう。国民健康保険証が届いたあとに医療機関へ申請すれば、自己負担割合を除いた分が支給されます。
しかし医療機関の中には、このような返金に応じていないところもあります。もし窓口で返金に応じてもらえなかったら、保険者である自治体に申請してください。手続きを問題なく終えたら、療養費として差額分が払い戻されます。
療養費を払い戻してもらう際には、新しく発行された国民健康保険証を用います。さらに医療機関が発行した領収書および診療報酬明細書(もしくは同意書)が必要です。これらの書類をなくさないように、大事に保管しておきましょう。療養費の申請は、費用を支払った日の次の日から2年以内に行わないと、時効で消滅するので注意してください。
新しい住所で国民健康保険の加入をしていないけどどんな問題がある?
保険診療が使えないため、診療時には全額負担になってしまいます。加入手続きを済ませると保険診療分は払い戻しされます。なお、「病院に行かないから」という理由で加入しないということはできません。
保険証は住所変更していなくても使える?
国民健康保険の場合、社会保険とは異なり住所変更を完了しない限りは、原則として保険証を使用できません。住所変更をせずに使用した場合、10割分の医療費を負担しなければなりません。仮に後日返金してもらったとしても、一時的に10割を支払うのは負担も大きくなるでしょう。
また住所変更がされていないと、国民健康保険の納付書が届かなくなります。支払いが滞ってしまい、延滞金を追加で支払う必要が生じる場合もあります。転出転入・市内転居のいずれにおいても、しっかりと住所変更届を済ませてください。
国民健康保険証の住所変更を行わないことに、メリットはほぼありません(マル学などのケースを除く)。特別な事情がなければ、引越してからすぐに手続きすることをおすすめします。
資格喪失手続きが遅れて、保険料を納めすぎた
納めすぎた保険料は戻ってきます(国民健康保険料の還付)。還付を受ける資格は2年間で喪失するので、早めに市区町村へ相談してください。
国民健康保険の被保険者となっている人は、自分で手続きを行う必要があります。引越し準備の際にも忘れないよう、やることリストに入れておきましょう。手続き自体は難しくなく、手数料などもかかりません。転入届を出す際に、一緒に済ませておくと便利です。
社会保険の裏の手書きの住所の書き換え方が知りたい
社会保険証の場合、住所欄は勤務先へ報告したあとに自身で修正してください。
除光液のほか、修正テープやシールを使用しても問題ありません。
保険組合では、二重線を使って文字を消すことも認めています。しかし余白に新しい住所を記載することを考えると、二重線では余裕がなくなってしまいます。特にアパートやマンション名も記載する必要がある人は、除光液などを使って文字全体を消したほうが望ましいでしょう。
国保も社保も引っ越し後の住所変更手続きを忘れずに!
国民健康保険も社会保険も、引越しが完了したら住所変更をしなければなりません。どちらの保険に加入しているかで、手続きの方法が全く異なるので注意が必要です。
国民健康保険は、引越したあと14日以内に自治体に届け出る必要があります。社会保険の場合は、基本的に会社が手続きを行います。被保険者は会社に報告をして、健康保険証の裏側に記載されている情報を各自で更新しましょう。
国民健康保険であれば、住民票の手続き後に窓口で案内があります。ただし担当部署が異なるケースも多いため、どの申請が終わっていないかを自分で把握しなければなりません。特別な事情がない限りは、住民票を移した日にまとめて手続きを終わらせることをおすすめします。
画像/PIXT
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