収納のプロが伝授!引越し時の片付け・荷造りの基本と収納アイディア
最終更新日 2024年08月21日
引越し前の荷造りや引越し先での片付けが、なかなか進まないと悩んでいるのはあなただけではありません。
多くの人が、引越しを機にいらない物を片付けて断捨離したいと思いつつ、「何から始めればいい?」「片付けにどれくらいかかる?」など悩んでいるのです。
そこで今回は、これまで2000人以上に片付けをレクチャーしてきた収納スタイリストの吉川永里子さんに、引越し前の片付け&荷造りの基本と、新居でのスペース別の収納アイディアをうかがいました。引越しの片付けは何日前から始め、どんな手順で進めるのか。また、引越し先での荷物の収納も、キッチンや洗面所、クローゼットなど収納場所ごとに収納の仕方やコツを詳しく紹介します。
■目次
・引越し前の片付けは何日前から? 荷造りは何から進める?
・荷造りのときにあると便利なグッズ
・ダンボールの荷物詰め「梱包」のやり方は?
・引越し後の収納アイディア(キッチン・洗面所・クローゼット)
・引っ越しまでに片付けが間に合わなかったらどうなる?
引越し前の片付けは何日前から? 荷造りは何から進める?
荷物の片付けは、まずスケジュールを組んで、次に荷物を使う頻度により3つに分類し、さらに部屋やグループごとに梱包していきます。不要なものは持っていかずにできるだけ処分しましょう。
片付けや荷造りは引越しの約1カ月前からスタート
片付け開始の時期は、引越しする日から逆算してどれくらいでできるのかを考えるのがポイント。荷物の分類によってそれぞれ荷造りのタイミングが違うので、下記のスケジュール例を参考にしてください。
引越す日を決める
↓
引越し1カ月前:しばらく使わないものを梱包
↓
引越し1週間前:引越して1週間程度で使うものを梱包
↓
引越し前日:引越してすぐに使うものを梱包
↓
引越し当日
効率よく引越しできる「荷造りの順番」を押さえよう
荷物は使う頻度によって3つに分類して順番に梱包していきます。すぐに使う予定がないものは、なるべく早めに梱包しておくといいでしょう。
・引越し後もしばらく使わないもの
必要なものだが使用頻度が少なく、荷造り開始後すぐに詰めておけるもの。オフシーズンの衣類・靴、写真や手紙といった思い出の品など。
荷物全体に占める割合:30%
荷造りをする時期の目安:引越しの1カ月前
・引越して1週間程度で使うもの
引越しの前後1週間ほどは使う予定がないもの。引越しの翌日以降に着る衣類、あまり使わない調理器具、本・DVDなど。
荷物全体に占める割合:60%
荷造りをする時期:引越しの1週間前
・すぐに使うもの
引越して新居ですぐに使うもの。当日や翌日に着る衣類、洗面道具、最低限の食器、カーテンなど。
荷物全体に占める割合:10%
荷造りをする時期:引越しの前日
ここでのまとめを収納スタイリストの吉川さんにうかがいました。
「ここでポイントになるのは、しばらく使わない荷物です。普段から使っている荷物と比べて、“いらないもの=新居に持って行かないもの”が入っている可能性が高いのです。まずはこのしばらく使わない荷物を、必要なものと不要なものに選別しましょう。整理するときの基準はたった1つ。『今使っているか/使っていないか』です」(収納スタイリストの吉川さん。以下同)
今の家で一度も使っていないものは、新居でも使わないものなので、持っていく必要はないそうです。今まさに、以前の家から持ってきた“開かずのダンボール箱”がある! という人は、いっそ開けずに箱ごと処分してしまっても良いかもしれません。
粗大ゴミの処分についてはこちら
引越し先での作業がラクになる荷造りのポイント
「使う頻度での選別が済んだら、置く場所で分けて梱包していきます。リビングに置くのかキッチンに置くのかを決めて、それぞれダンボール箱に詰め、どこに置くものなのかを箱に書いておく。そうすれば引越し業者の人が新居に運ぶときに、その場所に置いておいてくれます。引越す前の内見の時点で、『ここにはこれを置こう』というシミュレーションをしておくのがベストですね」
リビング、キッチン、クローゼット、寝具、浴室、洗面所、トイレなどのグループに分けて梱包していきましょう。
また、引っ越しを機に、家にあるものが本当に必要かどうかを吟味して、身の回りをすっきりさせる「断捨離」を実行する人も多いよう。興味のある方は以下の記事を参考にしてください。
引越しは断捨離のチャンス! 何を捨てる・どう捨てる?【整理収納アドバイザー監修】
荷造りのときにあると便利なグッズ
引越しのときに使うダンボールは引越し業者が用意してくれることが多いですが、他にはどんなものがあると便利なのかをリストにしました。参考にしてみてください。
ガムテープや養生テープ | ダンボールを梱包するときに必要で、中身によって色を使い分けるのもいい。養生テープは強度が落ちるため、電源コードを止める、固定するときなどに使う |
新聞紙 | 割れ物を包んだり、ダンボールの隙間を埋める緩衝材として使える |
梱包紐 | 解体した家具をまとめるのに使う |
軍手 | 手の怪我防止に必要。滑り止め付きタイプだとラクに運べる |
古いシーツやバスタオル | 家具や家電に巻けば傷つくのを防げる |
ノック式サインペン | ふたを開閉する手間やキャップをなくさずにすむ |
ハサミやカッター | 紐を切ったりダンボールを開けたりするのに使う |
工具セット | 家具の解体、組み立てに必要 |
レジ袋やビニール袋 | 液体が入った洗剤、調味料などの液漏れ防止になる |
ダンボールの荷物詰め「梱包」のやり方は?
持っていくものが決まったら梱包作業に入ります。引越しの梱包にはコツがあるので、基本をしっかりおさえておきましょう。
荷造りが進まない人必見! ダンボール梱包のやり方
・梱包資材を用意する
梱包に使うダンボールはどんなダンボールでも構いません。ただ、古いダンボールだと耐久性の問題があり、またサイズがバラバラのダンボールだと、運ぶにもトラックに積み込むにも手間になるため、できるだけ引越し業者に準備してもらうようにしましょう。
・ダンボールの組み方
引越し業者が用意してくれるダンボールには、引越し業者名などが印字されているものがほとんど。天地に注意して組み立て、荷物を入れ、そのまま運べば中身がぐちゃぐちゃになりにくいです。底にガムテープを貼るときは、底抜け防止のために必ず十字にします。
・小さいダンボールには重いもの、大きいダンボールには軽いもの
ダンボールは1人で持てる重さにするのが基本です。本や雑誌のように重いものは小さいダンボールに詰めましょう。
・下に重いものを、上には軽いものを詰める
重いものを上に詰めてしまうと、トラックの揺れや運送中に下の軽いものが潰れたり、壊れたりするおそれがあるため、ダンボールには重いものから先に詰めて、最後に軽いものを詰めます。
・ダンボール内の隙間はなくす
ダンボール内に隙間があると、荷物同士がぶつかりあって破損の原因になるため、隙間があれば新聞紙やタオルなどの緩衝材を詰めて中身が動かないようにします。
・ダンボールの中身が分かるようにする
荷物をダンボールに詰めたら、内容物をマーカーで書きましょう。引越し業者が用意するダンボールには「ワレモノ」「品名」など、丸で囲めばいいように印字されているものがほとんどです。
特に注意して運んでほしいものには、赤色のガムテープを使って注意喚起をするいいでしょう。
・梱包したら積み上げておく
梱包したら使っていない部屋やクローゼット、押入れなど生活の邪魔にならない場所に積み上げていきます。そのときに重いダンボールは下に、軽いダンボールは上に積み上げるようにしないと、重さで崩れるおそれがあるので注意。
食器や洋服などグッズごとの梱包方法、引越し会社に梱包まで依頼するケースなど、荷造り・梱包についてより詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
【動画あり】引っ越し荷づくり、プロに聞いた梱包テクニック! 食器・液体調味料・服など。ダンボールの正しい使い方も伝授
引っ越しのとき、収納ケースの中身はどこまで梱包すればいい?そのまま運んでもらえるもの、もらえないものは?
いざ引越しとなるとどの程度ダンボールを用意したらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。引越し人数別のダンボール個数や、足りなくなった場合の対処法をこちらの記事で紹介しています。
引越しで必要になる量は? 平均的な段ボールの個数と少なくするコツ
引越し日までに間に合わせる! 荷造りのコツ6カ条
荷造りを成功するにはコツやテクニックがあります。今まで紹介してきたことも踏まえ、以下6つのポイントに気をつけましょう。
1. 荷造りは使用頻度の低いものから始めるべし
すぐに使うものは、前日まで梱包しないようにしましょう。
2. 引越し1カ月前には処分するものを決めるべし
粗大ゴミの処分は時間も手間もかかるため早めに不要なものを洗い出しましょう!
3.荷造りはグループ分けすべし
部屋やグループごとで分けて梱包すると、開梱のときにもラクです!
4. ダンボールに入らないものもきちんとまとめるべし
観葉植物、大きいフライパン、ピンチハンガーなどは、ダンボールを2個連結させて入れる、ダンボールのふたを閉じないという工夫も。
5. ダンボールの山を見て本当に必要なのか考えるべし
必要だと思って梱包したとしても、こんなにたくさんのものが必要なのか考えてみましょう。
6. 荷造りの最中は手を止めないようにするべし
荷造りをしていると懐かしいものが出てきて、つい手が止まってしまいがちですが荷造りに徹しましょう!
引越し後の収納アイディア(キッチン・洗面所・クローゼット)
引越し先での荷物整理や収納のコツをスタイリストが解説!
さて、無事に引越しが完了し、すべての荷物が新居へ運び込まれました。まず、なにをすればいいのでしょうか。
「すべての荷物を運び終えたら、まずはすぐに使うものが入ったダンボールを開梱します。それさえ開けておけばとりあえずの生活はできるので、最初に開けておきましょう。
続いて開梱するのが、キッチンやクローゼットなど、置く場所がある程度決まっているもの。洋服や食器類などを収納していきます。
大切なのは、まず造り付けの収納スペースに荷物がどれだけ入るか試してみること。もし物が入りきらない場合は、ある程度処分する必要もありますし、追加で収納家具を買う必要もあるかもしれません」
引越し先に元々ある収納スペースのキャパシティを知ってから、追加の収納家具を検討するようにすれば、出費も抑えられそうですね。他の荷物整理のコツは、
「大事なのは、とにかく開梱すること。ダンボールに入れて積み重ねたままにしておくと、下のほうにある箱は開けるのがおっくうになって『開かずのダンボール』になってしまいがちです。
そうならないためのコツは、キッチンやクローゼットに置くものを最低限開梱したら、積んであるダンボール箱は重ねずに、床に並べて全部ふたを開けておくのです。
そうすれば中に何があるかすぐに分かりますし、開梱ペースも上がるはず。その状態で開梱を続けて、1週間以内に箱がすべてなくなるのが理想です」
収納スペースに入りきらない……という場合は、収納家具の買い足しをするといいとのこと。ただし、すぐには買い足さず、しばらく生活してみたうえで検討するのがポイントだそうです。
引越し後はつい気分が高揚して、あれもこれも欲しくなってしまいますが、できれば1カ月ほど新居で暮らしてみるのがいいそう。
そのうえで、「ここに棚があったほうが便利だな」「ここに置きたいものがあるけどスペースがないな」と、必要なものを冷静に判断できるようになってから追加購入するようにしましょう。
引越し先での荷ほどきについて、こちらの記事でより詳しく紹介しています。
整理収納のプロが教える! 上手な荷ほどきで快適なお部屋をつくろう
調理しやすいキッチンの収納アイディア
食器や食材など種類が多いキッチンでの収納のコツは、『ワンアクションで物を出し入れできるようにすること』。
そのためにはキッチンを3つのコーナー別に考える必要があります。フライパンや油など「火」のコーナー、水まわりで使う洗剤やザルなど「水」のコーナー、そして「食材」のコーナーです。
コーナー別に収納することで作業効率はグンとアップ。自炊がはかどれば食費の節約にもなります。
<ポイント>
・フライパンと油、まな板と包丁など、同じタイミングで使うものはまとめて置いておく。
・シンク下にはまな板や包丁など水まわりで使うものの他に、鍋やホットプレートなど重いものを。
・シンクの上のつり戸棚にはラップやアルミホイル、レトルト食品など軽いものを。
シンクやコンロの下は、コの字ラックを置いて収納スペースを上下に分けるのがポイント。下の段に鍋、上の段に食器、という風に配置すれば、高さのあるスペースも無駄なく活用できます。
家族で使いやすい洗面所の収納アイディア
洗面所のそばに洗濯機置き場がある物件も多いため、洗面・入浴アイテムだけでなく、洗濯や掃除グッズなど、さまざまなジャンルのものが集中する場所です。
2人以上で使用する場合は、さらにゴチャゴチャしてしまいがちなので、それぞれの収納スペースを決めて各自で管理するようにすれば、イライラも防げるはず。
衛生面も気になるので、出しっぱなしも控えたいところ。きちんと整理収納して、洗面所ではハンドソープが1つ出ているだけ、という状態が理想的。
<ポイント>
・洗面台下のスペースはキッチン同様、コの字ラックがおすすめ。排水管の左右にラックを置けば、洗濯洗剤や掃除用具、シャンプーのストックなどもたっぷり収納できる。
・タオルの収納は「輪(折り畳んだ部分)」が見えるように立てて。取り出しやすく見た目もきれい。
・ドライヤーは洗面台の上に突っ張り棒を渡してS字フックを掛けて。ドライヤーのリングを引っ掛ける方法がおすすめ。
・歯ブラシを洗面台の上に直に置くのは不衛生。陶器やガラス製など、おしゃれな歯ブラシスタンドに立てて置いておけば見栄えも良くなる。
出し入れしやすいクローゼットの収納アイディア
主に洋服を収納するスペースとして活用するクローゼット。洋服は何でもかんでもハンガーにかけてしまいがちですが、すぐにスペースが埋まってしまい出し入れしづらくなってしまいます。
洋服は『かける』より『畳む』ほうが収納力はアップするので、コートやシワになりやすいシャツなどはかけて収納、伸びやすいニットやTシャツなどは畳んで収納、といったように、服に合った収納の仕方を考えることでスペースを有効活用できます。
<ポイント>
・アイテムごとに並べて収納。コート、ジャケット、シャツなどまとめることで服が選びやすくなるのはもちろん、自然と着丈がそろい下の空きスペースも使いやすくなる。
・スーツのズボンは膝の部分で半分に折ってハンガーにかける。
・シワが気にならないジーンズなどは畳んで衣装ケースに収納。
・スーツなどのスカートはウエスト部分についている紐をハンガーにかける。
・ポリエステルやレーヨンなど柔らかい素材のスカートはふんわり畳んで収納ケースへ。
・ベルトはS字フックにかける。
引越し先で荷物の収納に困ったときは、こちらの記事も参考にしてください。
マンションの収納が足りない!を解消するアイデアと収納術
引っ越しまでに片付けが間に合わなかったらどうなる?
引越しのプランにもよりますが、自分で梱包する場合は、引越しまでにはすべて完了しておく必要があります。もし、間に合わない場合は、追加料金を支払って引越し業者に梱包を手伝ってもらわないといけません。
そうならないためにも、スケジュールを立ててプラン通りに進めることをオススメします。忙しくて荷造りや梱包をする時間がないというのであれば、引越し業者各社ですべておまかせする荷造り・梱包サービスが用意されているので、有料にはなるもののお願いするのもいいでしょう。
引越しはいらないものを整理して新しい場所へ移るという、ひとつのターニングポイントでもあります。せっかくの新居なのに、いらないものがたくさんあったりゴチャゴチャして片付かなかったりすれば、気持ちのいい新生活はスタートできません。荷造りと収納のコツをきちんと押さえて、いらないものはこの際に処分して、快適に過ごせる部屋づくりを目指しましょう!
引越し日までに荷造りを間に合わせる方法は、以下の記事も紹介しています。
引っ越し荷造り丸わかりガイド|終わらない人必見のコツも紹介!いつから始める?
引越し業者の「おまかせプラン」とは?梱包サービス・荷造りはどこまでやってくれるの?
●取材協力
収納スタイリスト・整理収納アドバイザー1級認定講師 吉川永里子
イラスト:上坂じゅりこ
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