引越し業者はペットや熱帯魚、観葉植物は運んでくれない!どうする?
最終更新日 2016年09月26日
ペットや熱帯魚、観葉植物といった動植物はどの引越し業者も運んでくれない。それは、生き物自身の健康面や引越し荷物の衛生面を考慮し、運送約款で決められているからだ。生き物は自分で運ぶのが原則だが、引越し業者が専門業者を紹介してくれることもある
依頼があればペット専門の輸送業者などを手配
例えばアリさんマークの引越社では動植物はどういうあつかいになっているのか。
「運送約款では、以下のような内容を記載しております。『動植物などは特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないものは、引越運送の引き受けをお断りすることがあります』」(アリさんマークの引越社・鈴木功さん)
では見積もりの際、生き物の運送を依頼された場合はどのような対応をしているのだろうか。
「引越し先までの移動距離、お客様の交通手段などの事情により、お客様にてお運びが難しい場合は、提携しているペット専門の輸送業者などを手配させていただきます」(鈴木さん)
このように依頼があれば、ペット専門の業者を紹介してくれるし、筆者の経験からいえば、観葉植物や鉢植え花などは、トラックに余裕があれば、現場の判断で運んでくれることもあるようだ。
犬や猫は人間といっしょに移動するのがいい
しかし以前取材した引越し業者によると、犬や猫はケージに入れて引越しする本人といっしょに移動させるのがいちばんいいという。クルマがベストだが、列車や飛行機も別に料金を払えば載せられる。は虫類や鳥などの小動物も普段ケージや籠に入れて飼っているものならOKだ。意外にたいへんなのが魚だ。とくに冬場に熱帯魚を引越しさせるのは、かなり骨が折れる。
いちばん安心と思えるのは熱帯魚水槽の引越しを専門にやっている業者に頼むことだ。ある業者は、魚のパッキングから、水槽の解体、輸送、セッティングそして魚を放すまでやってもらえて、料金は移動距離が30kmまでなら幅30㎝の水槽で2万円ちょっと出るぐらい。幅90cmでも5万円でおつりが来る。
もっと安く上げたいと思い、ひねりだしたアイデアは宅配便の利用。宅配便で魚だけ送り、水槽などは水を抜いた状態で引越荷物といっしょに運んでもらうというアイデアだ。だが大手の宅配業者のうち電話の窓口で明確にOKだと答えたのは日本郵便のゆうパックだけだった。
やはり熱帯魚の引越しも安くあげようと思えば、自分でやるのが一番のようだ。費用は魚の梱包用の厚手のビニール袋と酸素のスプレーが必需品だが、専門店からネットで取り寄せれば数千円以内で済むはずだ。
重要なのはスケジュールと温度管理
熱帯魚の引越しで重要なのはスケジュールと温度管理だ。犬や猫のようなペットとの引越しと違い、引越し当日に事前準備なく熱帯魚を引越しさせるのは無理と考えよう。冬場に長距離の引越しを行う場合は、1週間ほどかけて水温を下げ、引越し当日の変化に魚が対応できるようにしてやる。熱帯魚はゆっくりした水温変化にはある程度順応できるが、急激な温度変化にはついていけないのだ。
デリケートな熱帯魚の場合は1カ月ほど前から1週間ごとに水換えを行い、魚を水換えに慣らしておくといいようだ。また引越しの1日前から餌を与えないことも重要だ。これは魚を狭い容器に入れて移動させる際に糞で水を汚さないようにするためだ。
水槽の水の半分はもっていく
魚の梱包は次のような手順で行う。
1)厚手のビニール袋を用意し、その中に水槽から水を入れたら、魚をすくって水の中に放す。
2)市販されているスプレータイプの酸素ボンベから酸素ガスを入れ。輪ゴムで口を閉じる。
3)発泡スチロールの箱に袋を入れ、梱包する。この際、温度変化が大きそうならホッカイロやアイスノンなどを使って最小限に抑えたい。ホッカイロは完全に密閉してしまうと発熱しないので要注意だ。
長距離を運ぶ場合は水槽の水を抜き、抜いた水はポリタンクなどに入れてもっていくのがいい。魚はただでさえ引越しでストレスを感じているので、引越し先では少しでも慣れた環境においてやりたいからだ。
水の処理が終わったら、次はヒーターや濾過フィルターを取り出す。注意点はヒーターをすぐに取り出さないこと。スイッチを切って少し時間をおいてから取り出す。そうでないと、やけどのおそれがある。またろ過フィルターは水をよく切っておく。フィルターが水に浸かった状態で長時間移動させると酸素不足でバクテリアが死んでしまうおそれがあるからだ。
ペットの健康や荷物の衛生を考えると、引越しの際に余裕があるなら、やはりペットは自分と一緒に移動するのが良い。だが、熱帯魚を自分で運ぶのは事前準備も大変なので、専門業者を検討するのも良いだろう。
取材協力:アリさんマークの引越社
写真:PIXTA
掲載: 2016年9月23日
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