引越したけど、机がない! ダンボールで仕事にも食事にも便利な完璧すぎる机をつくる
公開日 2022年01月27日
引越しというものがある。いま住んでいる家から、新たな家に移ることだ。
引越す際には、いろいろなものを処分し、新たなものをそろえたりもする。部屋をスッキリさせるにも、引越しはいい機会だ。
ただ引越したタイミングと新たに買ったものの配送のタイミングがズレることもある。引越したけれど、新しい机が届かない、とか。
そんなときのために机を自作しようと思う。専門家に聞いた立派なダンボール製の机だ。
引越してスッキリ……だけど「机」がない!
引越しをするときは変なエンジンがかかるのか、もうこれは処分だ、と今まで普通に使っていたものを誰かにあげて、新たなものを買ったりする。
よく考えると別に買わなくても良かったかな、と思うけれど、新居に合わせて新調してしまう。
どうも、この記事を書いている地主です!
しかし先にも書いたように、新調したものが入居日に届かないということがある。私も今の家に引越したときに机を新調したのだけれど、在庫がないとかで3週間ほど机のない生活を送っていた。
こういう生活ですね!
最近はテレワークが増えているし、机がないとパソコン作業に難儀する人は多いだろう。
フリーランスのため自宅で仕事をしている私も、机がないと本当に困る。仕事は特に完璧なる環境でしたいのだけれど、引越した当初はそれがかなわないことが多いのだ。
ダンボールを机にしたりね!
ところで、引越し直後は、ダンボールだけは腐るほどある。机はないけれど、ダンボールだけはあるのだ。
その結果、ダンボールを机代わりにしたりもするが、これが完璧かといわれればそうではない。強度もないし、自分が求める機能がなかったりもする。
こういう机が欲しいんです!
ダンボールで完璧な机をつくりたい! のでプロにつくり方を聞く
ダンボールは大量にあるわけなので、そのダンボールで完璧な机をつくればいいんだ、と気が付いた。そこでダンボール工作の権威「チャッピー岡本」さんにダンボールで机をつくる相談をした。
チャッピー岡本さん
かぶりもの作家 兼 ダンボール作家。企画・デザイン会社でグラフィック&パッケージデザイナーとして活動後、独立。現在はかぶりもの作家としてさまざまな作品を発表しているほか、ダンボール家具のデザイン・制作なども行う紙やダンボールを扱う“プロ”。「TVチャンピオン」(テレビ東京)の「ダンボール王選手権」に出場した経験をもつ。
Twitter:https://twitter.com/chappy1115
サイト:https://www.dumboo.com/
まずは先の私の考える理想の机の絵(↑)を見てもらった。
絵ではわかりにくいが、折り畳みできるようにしたい。引越しの直後だけではなく、長く使いたいので、収納しやすいタイプでないと部屋のスペース的にキツいのだ。広い家に引越せればいいけど、そうもいかないから。
なるほどなるほど! それじゃ、設計図を書いてみますね。え? 手先が不器用なので不安? 大丈夫、設計図さえあれば1日でつくれると思いますよ!
あっさりした答えだった。この絵でよくわかるな、と尊敬した。
オンラインでお話を聞いています!
それにしても、ダンボールで家具をつくるのってどうすればいいんだろう。せっかくなので、コツも聞いてみた。
ひとくちに「ダンボール」といってもいろいろな種類があるんですが、一般的には中芯を表ライナーと裏ライナーで挟んで三層になったものを指すことが多いです。これを「両面ダンボール」といいます。
ダンボールを側面から見ると、波のような形の紙が上下の紙に挟まれていますよね。この波状の紙が両面ダンボールの「中芯」です。
これが両面ダンボール。見慣れた三層!
裁断時は一度に切ろうとせず、まずは力を抜いて、
(1)上の部分だけを切る
(2)中芯を切る
(3)下の部分まですべて切るようにする
こうするだけできれいに切れるんですよ。
確かに、一度に切ろうとしてまっすぐ切れなかった経験が何度もある。
というか、そもそも何で切ればいいのだろうか。ダンボールカッターとかもあるけれど。
仕上げの美しさを重視したいなら普通のカッターのほうがいいです。
ダンボールカッターはスムーズに切れますが、ノコギリのようにゴシゴシと刃を前後に動かして切るので、カッターに比べると切り口が粗くなるんですよね。ただ分厚いダンボールをまとめて切るときには便利です!
今回はまとめて切ることはなさそうなので、カッターでいいかもしれない。カッターは自宅にあるし。
あと、ダンボールには、折れやすい方向と折れにくい方向があります。中芯に沿った縦の方向を「段目」というんですけど、ここに沿って力を入れると折れやすい。
一方で、段目に逆らい「横」に折ろうとすると、すごく折れづらいんですよ。
うっすら横と縦がわかりますね!
机の天板をつくるときは複数のダンボールを張り合わせて丈夫にするんですが、1枚めは段目を縦に、2枚めは段目を横に……と互い違いに貼り合わせることで強度が高まります。
今ダンボールの特性を理解することで、ダンボールでも丈夫で長持ちする家具がつくれるわけだ。
貼り合わせて強度を高めるということだが、接着はどうすればいいのだろう。
両面テープと接着剤の両方を使う「ハイブリッド」でいきましょう!
接着剤だけでは乾きが遅いですし、乾かしている最中に手や足をぶつけてゆがんでしまって……というケースもあるので。
両面テープはすぐにくっつくのがメリットですが、長年使う想定なのであれば、やはり接着剤のほうが強度が高いです。だからハイブリッドがおすすめです!
なるほど。木で工作する場合は色を塗ったりすることもあるけれど、ダンボール家具の場合はどうなのだろうか。
ペンキで色を塗ったり、マスキングテープを貼ったりする場合もありますが、基本的にはダンボールそのものの色を活かすという場合が多いですね。
ダンボール家具をつくる上で念頭に置きたいのは「リサイクル」のことなんです。塗料など別の素材を使ってしまうと、燃やしたときにガスが出たり、古紙回収に出せなくなったり、という懸念点があります。
勉強になった。私はダンボールのことを知らなすぎた。
そして、打ち合わせから数日もたたないうちに設計図が届いた。ダンボールを知り尽くしたチャッピー岡本さんの設計図は、段目などダンボールの性質も当然考慮した、とてもわかりやすいものだった。
今回は140サイズのダンボール8枚を使用した、ちゃぶ台タイプの折り畳み机を考案してみました。
天板、脚のパーツの切り出しですが、ダンボールはメーカーによって若干サイズが異なります。表記のサイズはあくまで一例なので、ちょっとずれちゃうな……という場合も、そこまで気にしなくて大丈夫。
まずは最初に1つパーツを切り出し、それを「型紙」にして段目の違うダンボールにあてがい型取りをして同じサイズのパーツを切り出して……が、一番やりやすいかなと思います!
打ち合わせのときも、チャッピー岡本さんはいっていた。ダンボール工作は木の工作ほど1mm単位でどうのということはない、多少ずれたり曲がったりしていても大丈夫、と。
そこまでシビアな正確性を求められないダンボールは、工作が苦手な私にとって理想の素材なのかもしれない。
というわけで、必要なものをそろえました!
ケガに注意しながらダンボールをカットしよう
改めて、私が理想とする机はこれである。
便利そう!
イラストだけで十分伝わっているかとは思うが、念のため補足すると、机の中心にパソコンを置けて、そのまわりにスマホやタブレットを設置できるものだ。
世は大デジタル時代。いろいろな画面を見ながら仕事をしたいのだ。
その机の設計図があり、ダンボールもある。さあ、つくろうではないか。
設計図を見ながら、
採寸して、
切っていきます!
ダンボールを切るときは、床を傷つけないようにしなければならない。せっかくの新居なのに切っちゃうのだけは避けたい。
そのためにはカッティングマットが必要になる。今回だと、60 × 100cmくらいのマットが必要だけれど、売っていなかったので、A3サイズのカッティングマットをくっつけて使った。
カッティングマットを、
養生テープでくっつけて、
カット!
ちなみに、今回は引越しの際にもよく利用されている140サイズのダンボールを8枚ほど使う。厚みはAフルート(5mm)。ほかにもBフルート(3mm)、Cフルート(4mm)、Wフルート(8mm)などがあるそうだが、Aフルートの5mmは一般的な厚みだそう。
チャッピーさんに教えてもらったように、3回に分けて徐々に切っていく。
お気付きですか?
気を付けていただきたいのは、切るのはダンボールだけにすることだ。カッターって手も切れちゃう。落ち着いて、3回に分けて少しずつダンボールを切ることが大切だ。
またダンボールそのものにも要注意。侮って切り口を触ろうものなら、場合によっては切れるから、指が。体験したからわかる、ダンボールは凶器にもなる。
ただ、工作は楽しい!
ルーズすぎて予定外のトラブル! でも、なんとかなる
ダンボールを測って切る作業には3時間ほどかかった。手は2回切った。
何度もいうけど、工作が苦手なのだ。しかし、楽しかった。知りすぎている形のダンボールから机のパーツを切り出す作業は、新たなるものを生み出している感じがして楽しい。
両面テープを貼って、
接着剤を、
塗る!
チャッピー岡本さんに教えてもらったとおり、両面テープと接着剤のハイブリッドでダンボール同士を貼り付けていく。ただ、接着剤は塗りすぎると水分でダンボールがゆがむこともあるので、注意が必要だ。
天板完成!
段目を交互にすれば強度が増す。切る段階から段目を意識する必要があるが、それはチャッピー岡本さんがわかりやすく設計図に書いてくれていたので完璧。これ人が乗っても大丈夫だろ、くらいの強度を感じる。
そう、強度には問題がなかったが……。
想定外!
本当はこうのはず
設計図では天板に穴を開け、そこに足のパーツを差し込むようになっている。ただ私の採寸がおかしかったのか、足が天板からはみ出していた。
そこまでシビアな採寸は必要ないはずだったが、私があまりにもルーズすぎた。
でも、そのまま完成させました!
もう一度採寸してつくり直すことも考えたけれど、そのまま押し通すことにした。天板の穴に刺さなくても、なんとか固定できそうだったのだ。
それでいいじゃない、それがオリジナリティー。
約4時間ほどで、全てのパーツが完成しました!!!
ダンボールとは思えない、最高の机の誕生
大事なことなので何度でもいうが、この机の良い点は折り畳み式であることだ。
必要なときだけ組み立てて使える。広い部屋ではないので、とても便利だ。もちろん組み立てるのも大した手間ではない。だってパーツは3つしかないのだから。
使わないときはこの状態!
足を、
組んで、
天板を乗せれば、
完成!!!
20秒もあれば「机」になる。本来は天板に差し込む予定だった足の上部の出っ張りが、天板を外側から固定してくれている。刺さらなくても問題ないのだ。ダンボール工作の懐の深さを知った。
これを立てると、
スマホを設置できる!
こんな感じで大量に!
この机には、天板にスマホやタブレットを立てられる折り畳み式のスタンドがある。
最大5つのスマホやタブレットを立てることができ、中央にパソコンも置ける。スケジュールや日経平均を確認しながら、フェルメールの絵を見つつ、電卓を叩き、エクセルの表とにらめっこしつつ、パソコンで仕事ができるのだ。
完璧だ、完璧すぎる机だ。
バリバリ仕事できちゃうよ!!!
常々、これくらい画面が欲しいと思っていた。ただスタンドを準備するのは面倒だった。だから、もう机と一体化することにしたのだ。
しかも、このスタンド活躍するのは仕事のときだけではない。食事のときも、だ。
白ごはんだけなのに、
豪華な食卓!
引越した当初はキッチン道具がそろわず、満足に自炊できないこともあるはずだ。
しかし、この机があればスマホやタブレットの画面に料理の写真を映し出し、とても豪華な食卓をつくり出すことができる。目で食事を楽しめるのだ。胃には白ごはんしか行かないけど。
豪華な食事の時間!
ダンボールでこんなにも素晴らしくて頑丈な机をつくれることに感動した。もう引越しも怖くない。というか、普通に便利で引越し直後以外でも使える。
ダンボールの可能性は無限大と知った。
つくるときも、つくってからも楽しい!
つくろうぜ、ダンボール家具
たくさんのダンボールを使う引越し時はもちろんのこと、われわれのまわりには常にダンボールがあふれている。
それをうまく使うことで、自分が理想とする家具ができてしまうのだ。何よりつくるのが楽しい。
今度引越すときは試してみてほしい。机はある、という人も楽しさを味わうためにつくってみてほしい。
手だけは切らないように!
やっぱり、折り畳めるのが超いい!
【著者プロフィール】
著者:地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「昔のグルメガイドで東京おのぼり観光」(アスペクト)がある。
編集:はてな編集部
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